こんにちは。

あすはな先生代表の村中です。
今回は最近発表された注目の自閉症関連報道の中から
自閉症治療薬に関する最新情報をお伝えしたいと思います。
 
発達障害、特に自閉症に関わる支援者や医療関係者の中で
長らく議論の的となっているテーマに「自閉症は治るのか」
というものがあります。
 
現在でも様々な立場、考え方が存在していますが、それらの意見を
大きくまとめると、
 
①「生理学的な意味では治療方法はまだない」
 →つまり持って生まれた特徴や傾向自体は大きく変わることはない
 
②「社会的、文化的な意味で治療(or成長促進)することは出来る」
 →適切な理解や支援、トレーニングによって社会適応を促進していくことは可能
 
というところが、現状の妥当な理解であるかと思います。
(あすはな先生も基本的にこの考え方で、子どもたちを支援しています。)
 
そんな中、昨年末に注目の研究成果が発表されました。
自閉症の「薬」が将来、開発されるかもしれないというのです。
 
発表したのは東京大学大学院の山末英典准教授らのグループです。
 
【東京大学のプレスリリースはこちら】
~世界初 オキシトシン点鼻剤による対人コミュニケーション障害の改善を実証~ 
 
 
こちらの発表によると、脳内ホルモンの一種であるオキシトシンという成分を投与する
ことにより、低下していた脳活動が有意に上昇し、対人コミュニケーション能力が有意に
改善されたということです。
 
自閉症の方のコミュニケーションには、ある特徴があることが知られています。
それは表情や声色などの非言語的な手がかりを読み取ることが苦手なことです。
 
そしてその特徴は、脳の中の内側前頭前野という部位の活動低下によって起こっている
というところまでは以前の研究で分かっていました。
今回、オキシトシンを投与の実験により、自閉症の方の内側前頭前野の活動が活性化され
表情等の読み取り成績が6%向上することが確認されたとのことです。
 
 
オキシトシン実験
 
※写真は東京大学のプレスリリースより引用
 
自閉症そのものの「治療薬」は現在世の中に存在していません。
そのためこの研究結果は自閉症の薬が生み出される可能性が出てきたという意味で
非常に注目すべきものと言う事が出来るでしょう。
 
私もこのオキシトシン研究については、今後も注目していきたいと思っています。
 
しかしながら、私たちはこの研究結果を手放しに喜んでよいのでしょうか?
残念ながら、私は現段階ではまだこの研究結果の効能はかなり限定的なもの
なのではないかと考えています。
 
今後は、そのあたりについて、私なりの考察をお送りしたいと思います。
 
 
いずれにせよ、発達障害の支援は日進月歩でどんどん進んでいきます。
私たちあすはな先生も最新の知見を取り入れつつ、たくさん学びながら
子どもたちと接していきたいと考えています。